日本最古の埋葬犬骨や線刻礫(せんこくれき)などで知られる国史跡「上黒岩岩陰遺跡」(愛媛県久万高原町上黒岩)に併設されている上黒岩考古館でこのほど、地元の美川中学校の生徒を対象にした職場体験があり、2年生菅瑞葵さん(14)が、町内の遺跡の土から小さな土器の破片などを探す作業に取り組んだ。
 中学生を対象にした職場体験は町内で毎年実施されているが、考古館が受け入れるのは初めて。今年9月に町教育委員会が発掘作業をした猿楽遺跡(同町黒藤川)から持ち帰った土を水で洗い、土器や石器のかけらを探す「フローテーション」の作業に挑んだ。
 菅さんは土を流して残った細かい石を、住民と協力してピンセットで選別。石器製作に使われたとみられる石「サヌカイト」の小さな破片がいくつも見つかり、菅さんは「テレビで見ただけだった遺跡の調査に、このような地道な作業があることが分かってよかった」と笑顔。町教委の遠部慎学芸員(40)は「サヌカイトは町内では自然には存在しない石。猿楽遺跡で石器が作られていたことを示す材料になると思う」と話していた。